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平坦で無気力な現状から顔を上げて前を見ようと思ったと同時にふと読みたくなった本。
もうすげー読みたくてたまらなくなったので引っ張り出してきました。北村薫の三部作「スキップ」「ターン」「リセット」です。
数日かけて読破しました。
あー、面白かったーー!

 

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スキップ (新潮文庫)スキップ (新潮文庫)
(1999/06)
北村 薫

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読み返す度に違う感慨を持つ作品。数年ごとに風合いが変わる。自分が年を重ねて、真理子さんの年齢に近づいていくことで、より深く感じるのかもしれない。
読み返す度に思う。真理子さんが素敵すぎる。
人は年を取るに連れて老化するわけですが、「老化」ってなんだろうなーって思いました。
身体的に衰えるのは確かなんだけど、精神的にも衰えていく。それは言い換えれば「経験」であるわけですが、プラスにもマイナスにもなる要素だよね。いいこともあれば悪いこともあって、積み重なっていくことで心は満たされたり壊れたりする。
心の老化っていうのは、「諦め」だと思う。
今までの経験から考えて、こういう場合は大抵ダメだよねって思っちゃう。だから、やらなかったり、それを前提にして物事を進めたりする。作中にもあるけど、「だから」とか「どうせ」って言葉を使って、上手くいかなかったことを「仕方ない」って流そうとする。チャレンジ精神がなくなる、新しい発想が生まれなくなる、そういうシニカルな気持ちが心の老化なんだと思う。
でも、心が若ければ、姿は若返るというか、気持ちに引っ張られて、その「若さ」に近づいていくんだよね、きっと。
「病は気から」じゃないけど、心や気持ちを保つのはすごく強くなれることなんだと思わされた。
急に「スキップ」が読みたくてたまらなくなったのは、無意識のうちに真理子さんの強さに触れたくなったからなのかな。それぐらい、真理子さんの心は瑞々しい。清々しくて美しいのだ。
いつも同じところで泣くんですが、今回もやっぱり池ちゃんとの再会話で号泣でした。

私は何年経っても、この本が好きだと思います。
時を経て、数年毎に、何度も、何度も、読み返していきたい。
そんな大事な一冊です。
女性には絶対オススメ。




ターン (新潮文庫)ターン (新潮文庫)
(2000/06)
北村 薫

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「スキップ」に比べて地味──というか、あちらが「動」ならこっちは「静」の空気が漂うので、続けて読むと、この不思議な感覚に慣れるのに時間がかかるのですが、ゆるゆると、ひっそり静かに、「いいなー」っていう気持ちが忍び寄ってくるのが「ターン」です。
この作品は、なんだろう。今回じっくり読んでて改めて気づいたのですが、とても色彩豊かな文章だなー、と。繰り返す世界は誰も居ないこともあってとても無機質で白い世界のイメージなんですが、だからこそなのか、そんな世界にぽつぽつと、青やオレンジや緑やらが際立って映える。目に見える色じゃなくて、言葉として使っている、表現上の色だったりもするんだけど、でもそんな色すらも恐ろしいまでに鮮やかに浮かび上がる感覚。
読んでいると、パステルカラーの優しい色たちが心の中に灯ります。
私達の暮らしには、生活音というものがあって、意図的でなくてもなんらかの音を立てながら生きている。どんなに立てないようにしても、椅子に座る音は消えないし、足音だって消えはしない。立てていないと思っても、廊下を歩く時にはかすかに軋む音が鳴っているのでしょう。鳥のさえずり、車のエンジン音。風に乗って、なんらかの音が聞こえている。誰かが居るから聞こえる音。そんな一切合財が何もない世界って、どんな張り詰めた空気がするんだろう。自分一人しか動くものがなければ、空気の対流が起きないんだから、音はしないわけですよね。無音の世界。
よくある例えだけど、受話器の向こう。例え喋らなくても、向こうに「誰かがいる」空気っていうのはわかります。かすかな音や息遣いっていうのは、消そうと思っても消せるものじゃないのでしょう。
何の音もしない世界は、きっと逆に耳が「痛い」と思います。
実際は、風が吹いたりもしてるでしょうから、無音ってことはないんでしょうけど。
でも、恐いと思う。生きる屍と化してもおかしくない。
人はやっぱり、一人では生きていけないんだろうね。
読み返してて、真希がとても小さく思えたんですが、ビックリ。彼女は29歳だったのです。初読時はずっとお姉さんというか、大人の人ってイメージだったのになぁ。
真希が少しだけ幼く感じられたのは、私が彼女より年上になってしまったせいなんでしょうか。別に年齢を意識して読んでたわけじゃなかったんだけどね。逆に言えば、それを感じ取れる文章だということですか。
すごいぜ、北村薫。




リセット (新潮文庫)リセット (新潮文庫)
(2003/06)
北村 薫

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前二作と時間が空いてることもあるのか、思い入れは一番薄かったりする三作目。
戦時中から始まることもあって最初少し取っ付きにくかった。数年前に読み返した時も同じだった。さらに時を経て今読むと、思いのほかすんなり読めてしまったのは、私が年取ったせいなのか……(苦笑)
とはいえ、やっぱり前二作ほど気持ちが乗らないのは、視点が一人に限定してないせいなんだろうか。むしろ主人公は「時の流れ」の方にあるんじゃないかと思うぐらい、一番「時」に翻弄され、動かされている気がします。「時」が敵であり味方である、そんな感じ。
「時間」というものに向き合って考える話じゃなくて、「時間」に流され生かされている。
どんなことがあっても「時」は過ぎて、流れていく。当たり前の日常があり、その当たり前が当たり前でなくなることもある。だけど、世界は、時は進み続ける。哀しくて残酷で、けれど忘れていく。覚えていることも大事だけど、忘れてしまえることも大事。
ううむ、難しいな、なんていうのか。
置いていったしまったことも、報われる時は来るのかもしれない。
生きてさえいれば。




次、何読もうかな──と本棚眺めて、「ハサミ男」読もうかと思ったのだけど、S々木さんの影響で「レディーガンナー」もいいかもしれないと思う今日この頃。まあこれは、発売日に照準合わせて読み返すのもいいかな。

 

 

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彩瀬あいり

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